埼玉県福祉部障害者支援課からの依頼で2024年2月28日にZoomにて開催した講義「SNS活用法─全国の事例とアンバサダーマーケティング─」のアンケートが送られてきました。担当者曰く、「先日回収した参加者へアンケートを実施いたしましたところ、大変反響がありましたので、一部を送らせていただきます」とのこと。大変嬉しい限りです。
◎第1部の事例は参考になると感じました。なかなかSNSは活用できていませんが、「アンバサダーをつくる」という観点がしっくりきて、今後の販売方法のヒントになると思いました。
◎私一個人として普段からプライベートにて、SNS運用やマーケティングについて勉学に励んでいたのですが、今回の講義では実際の他施設や企業の成功例を踏まえながらお話をしていただけたので、とても分かりやすかったです。
◎アンバサダーを地域に作っていきたいと思った。インスタグラムだけでなく、地域に根ざした味方をつけていくことを考えていきたい。また、福祉施設で障害を持つ人たちが心を込めて商品を作っていることをもっと広めていきたいと思います。
◎元よりSNSの運用はしていたが、有効活用できていなかったように感じたため、今回の研修にて得た知識で拡散の力を借り、ご利用者様の作品を世に広めたい。
◎SNSなどの取入れは、時代にあわせて今後必要になる学びかと思いますので、法人と協議して取り入れていきたいと考えております。
◎障害者施設というのを隠さずに商品を売り出した方が良いという話が印象的でした。販路は一般的なところが良いと思いますが、SDGs的な観点からも推すべきというのも納得しました。
◎第1部の研修と併せて、当事業所でも焼き菓子を扱っていることから、置き販売などチャレンジをし工賃向上のチャンスが掴めたらと思います。まずは、関係している施設や学校などに声を掛けることから。少しでも多くのファンを獲得すべく一歩を踏み出したいと思います。
……等々。個人的にマーケティングを勉強している職員がいたことにも驚きですが、そんな方にも十分通用する講義になっていたことに、ホッと一安心です(笑)。ところで、アンケートの中にはこんな回答もありました。
◎1部の研修で、まず福祉を語らないことは、正しいのか?という内容では、当事業所はお煎餅販売をしているのですが、美味しければ売れるはず! 前面的に福祉感を出さなくてよいのではないか・聞かれたら答える。というようにしています。お客様によっては「え~!障がい者が作っているの?買いたくない」というお声が実際ありお煎餅自体は提携している製菓屋さんの品ですと伝えた所「なら安心ね」との返答でした。利用者さんもその声を聞きショックを受けていました。ある程度理解できる利用者さんでしたので、現実問題まだまだ障がいをもっている方に対して偏見や差別はあると思う。それに対して反論するのではなく、悲観するのではなく、受け止めて身だしなみをしっかりしよう! 清潔感をだそう! そう思われないよう努力しよう!と伝えました。胸を張って福祉感が出せるようになりたいです。
私の提案に対する反論というわけではないようですが、「当事業所では、前面的に福祉感を出さなくてよいのではないか・聞かれたら答える。というようにしています」については、私も言うところがあります。それではダメなのです! なぜならば、皆さんは「障がいのある人たちが働く就労支援事業所」だからです。公的な資金で運営されている福祉施設(就労支援事業所)である限り、「単純に美味しい商品を作って売ればいい」ではすまされません。
どうしてもその方針を貫きたいならば、株式会社として普通に給料を支払って障がい者を雇用すればいいだけです。(実際にそれを実現している企業だってありますよね?)福祉施設の役割は、地域住民に対して「自分たちは何を目的として運営しているのか」を明確に説明する義務があります。商品づくりは、あくまでそのためのツールにしかすぎません。公的資金を受けながら、「事業ごっこ遊び」(元ヤマト福祉財団会長、故・小倉昌男氏の指摘)を淡々と進めてもいい時代はとうに過ぎ去っています。
もちろん、現代は報酬改定が着々と進み、B型事業所にとってもいよいよ本格的に工賃向上を目指さないと運営そのものも立ちゆかなくなってきました。福祉経営そのものが大変厳しい時代に、こんな原則論を貫くのは大変であることは十分承知しています。しかし、それでもやはり誰かがここで言っておかねばなりません。「あなたたちの本来の役割は、商品販売やサービスの提供を通じて、地域の人たちに障がいのある人たちが働く価値と意義を伝えることなのだ──」と。
そのためにも、もっと胸をはって、堂々と自分たちの商品や施設の役割について語っていこうではありませんか。それが結果的に、地域にアンバサダーを増やすことになり、売上アップ=工賃向上へとつながっていくはず。私の講義「工賃向上に必要な5つのチカラ」「SNS活用法─全国の事例とアンバサダーマーケティング」「ありのままで良しとされる世界をめざして」の3本柱で、今後もこの主張を訴えていきたいと思います。