埼玉県福祉部障害者支援課の方から先日メールをいただき、1月に開催する予定の工賃向上セミナーの講師依頼を受けました。これで、全国社会就労センター協議会(職員研修会、課題別研修会)、秋田福祉会、岡山市社会福祉協議会、岐阜県社会福祉協議会、北海道社会就労センター協議会に続く依頼となります。「工賃向上に必要な4つのチカラ」と称した、全国の障害者施設の好事例紹介はおかげさまで受講者からもとても好評で、非常にうれしく感じています。
とくに埼玉県の依頼は、県の福祉課からのもの。じつは私が住んでいる古河市からはもっとも近い自治体です。(地元の古河市は一応、茨城県なのですが、埼玉県、とくに県庁所在地のさいたま市は、水戸市なんかよりよほど馴染みのある地域なのですね)やっと地元からも声がかかるようになったかと、これまで以上に張り切っているわけです。しかも2時間もの長時間枠ですし。
そこで今回は好事例紹介「工賃向上に必要な4つのチカラ」に加えて、新たな試みを考えました。それは、「現状の商品を、そのままで売る方法」という販売促進アドバイス。アドバイザー派遣事業などで施設にやって来るコンサルタントというのは、いつも「もっと売れる商品を開発しよう」「市場調査をした上で、商品開発しているのか」「商品を売るために必要なのはブランディング」等々の話をしがちです。
もちろんそれは大切なことだと思いますよ。でもさ、もっと参加者のレベルに合わせて、「あなたたちに、まず何が出来るのか?」をじっくり訴えていかないと、せっかくアドバイザーを派遣しても、ものにならないわけですよ。多額の助成金の無駄遣いと言われても仕方ありません。
5年前に私は、大学の先輩である企業コンサルタントと組んで、2つの施設の製品開発支援を行っています。1つは、さつき園(大分県)の牛乳パック再生手すき紙。もう一つは、わかたけ作業所(福岡県)の柚子胡椒。どちらもとても地味な商品で、普通のコンサルタントなら手がけたくない事例でしょう。実際、私たちもあまり乗り気で関わったわけではありませんでしたが、サポートを行ううちにどんどん楽しくなってきました。
私たちの考え方の基本は、「商品自体に、変化を加えないこと」でした。地味の商品ではあるものの、調査の結果、職員たちは商品に自信を持っている。であれば、その魅力をきちんと数値化して、市場におけるポジショニング化を行い、その上で販売ターゲットを明確にし、どんな営業活動をおこなえば良いのかをサポートする。そのための販促ツールも制作してあげる。こんな地に着いたサポート活動を行ったのです。
一般的なコンサルタントというのは、分析は得意です。でも、福祉施設の現場が求めているのはそこから導き出される具体的な営業方法と、販促ツールではないか。これが私たち2人の共通の考えなのでした。具体的にどんな支援をしたのか? それは1月に開催される埼玉県の工賃向上研修会で紹介する予定です。できればこれをきっかけとして、2つの施設で取り組んだような派遣事業へとつながるといいなと、勝手に妄想しています。