障がい者就労支援施設の職員を対象とした工賃向上研修会への依頼が、昨年度から少しずつ増えてきました。個人的には非常に力を入れたい分野でもあり、とても嬉しい限りです。就労継続支援B型事業の工賃をいかにアップさせていくかというテーマは、何十年も昔から続いているテーマです。厚生労働省から「工賃倍増5ヵ年計画」「工賃向上3ヵ年計画」が発表される度に、各県では躍起になり、さまざまな工賃向上研修会が開催されてきました。
研修会の多くは、専門家(中小企業診断士)によるマーケティング勉強会だったり、デザイナーを招いての商品開発研究だったり、百貨店担当者による販売実務の基礎ルール等。講師によってそのレベルはさまざまですが、どうしても現場のレベルとかけ離れたテーマが主体となるため、せっかく参加してもすぐ実になる話というのはなかなか少ないように感じます。私自身、障がい者施設に勤務していた時にはさまざまな研修会に参加してきましたが、参加者の目的と講師の話のズレが気になっていました。
「工賃向上」をめざす障がい者施設の職員にとって大切なのは、卓上の理論や知識を得ることでは決してない。これが、私の基本的考えです。極端な話、そんなことはどうでもいいとさえ思うのです。現在の就労継続支援B型事業所の月額工賃は、約15,000円。いくら障がいがある人たちが働く事業所とはいっても、かりにも就労支援を目的とする施設の実績としては、あまりに低すぎます。この事実をしっかりと見据えた上で、職員たちの意識を180度変える。そんなショック療法が求められているのではないでしょうか?
そうはいっても、一流企業の実態や商品開発例をいくら聞いても、「私たちの世界とは別だから」で終わってしまうのがオチ。そこで私は、全国の障がい者就労支援事業所の好事例を元にして、それがなぜ優れているのかの解説を中心にしています。これまで「工賃向上に必要な4つのチカラ」と題する研修会を、全国各地で開催してきましたが、おかげさまで参加者からは大変好評です。アンケートにも、「全国の魅力的な事業所、商品を具体的に示していただき、刺激になった」「とても勉強になった。もう一度全体的に話を聞きたい」等々の声をお書きいただき、本当にうれしい限りです。
昨年度、全国社会就労センター協議会(セルプ協)で二度にわたる研修会講師を担当させていただいたのをきっかけにして、秋田県の障がい者施設(小又の里)、岡山市社会福祉協議会へと普及。最近では、北海道社会就労センター協議会からもお声がけいただきました。全国の優れた障がい者支援施設の事例を紹介する講演内容は、これまで250以上の施設を取材している私だからこそ出来る活動だと自負しています。日程さえあえば、全国どこへでも出かけて行きますので、どうぞお気軽にお問い合わせください。